評価グリッド法®:リサーチソリューション | マクロミル
生活者が持つ評価構造を明らかにし、
視覚的に階層構造として表現することができる画期的な手法。
商品開発やコミュニケーション戦略立案を支援する
「評価グリッド法®」は、讃井純一郎氏の登録商標です。
生活者が「何を知覚して」、その知覚から「どのような理解をして」、そこに「どのような価値を見い出しているのか」という、生活者の持つ商品やブランドなどの評価構造を明らかにし、視覚的にわかりやすい階層構造のアウトプットにて表現します。
- このようなときに・・・
- 商品スペック決定時の判断材料として
- 商品訴求ポイントの絞り込みをしたいとき
- 作り手が気づかない商品やブランドの新しい価値の発見をしたいときに
- こんなことができます
-
- 生活者が持つ評価が商品属性、機能的ベネフィット、情緒的ベネフィット、選考評価の階層構造にて把握できます
- 生活者の生の声による評価項目での商品やブランドのパーセプションが明らかにできます
1.生活者は何に対して価値を感じているのか
「評価グリッド法®」はパーソナルインタビューで用いられる事の多い手法の一つで、人間が「何を知覚して」その知覚から「どのような理解をし」、そこに「どのような価値を見出して」いるのか、という生活者が持つ評価構造を明らかにし、視覚的に階層構造として表現することができる画期的手法です。この手法は1986年に関東学院大学・讃井純一郎氏によって枠組みが確立され、昨今は定性調査だけではなく、定量調査にも応用できる非常に有効な方法論として注目されています。
牛乳はどのように役立つかあなたは学校で集中し続ける
ダイエット飲料を例にとれば、評価構造とは図1のように「アミノ酸量が多い⇔少ない」といった客観的かつ具体的な理解(例:商品スペック)を下位概念に、「脂肪を燃焼する⇔しない」といった感覚的理解を中位に、さらに「快適な生活を送れる⇔送れない」といった抽象的価値判断を上位概念とした、各人に固有の「物事を理解・判断する階層的な仕組み」です。そして、このような概念を階層的に整理することで、具体的な商品スペックがどのように抽象的価値判断に結びついているのかを理解することができるのです。
図1.階層構造とは
評価グリッド法®では定式化された設問のフローにより、生活者の評価構造を調査対象者自身の言葉によって明らかにします。この手法を利用することで、「生活者はどのような欲求から、商品○○を買うのか」「生活者に何を提供すれば、それに価値を見出してもらえるのか」といったマーケティングにおける日常的な疑問を解決することができるでしょう。
本来、評価グリッド法®は対面式のパーソナルインタビュー形式で行ないますが、当社では評価グリッド法®による電話デプス調査とウェブ定量調査を組み合わせた独自手法「ハイブリッド評価構造分析法」を開発いたしました。これにより、コスト・スピード・精度を極限までバランスさせた全く新しいコンセプト評価が可能となります。
2.評価グリッド法®の手順
評価グリッド法®では比較対照物を用意して、それらを比較評価してもらい、その評価理由を聞き出すという方法で、調査対象者の評価構造を表出化させます。そして結果は階層構造のツリーとして表現されます。(図2)
図2.評価構造ツリーの例
下記では、「ダイエット飲料の評価構造を明らかにすること」を例に、評価グリッド法®の各段階における考え方や具体的方法を紹介します。
1型糖尿病を入力している人はアイスクリームを食べることができます
2-1. 比較対照物の準備
まずは調査対象者に評価してもらう比較対照物を用意します。比較対照物には、写真・模型・実際の商品などを選びます。
例えば、ダイエット飲料について調査を行う場合、「アミノサプリ」「ヴァーム・ウォーター」「ボコ」「ダイエットコーク」などの画像を比較対照物とすることができます。(図3)
図3.比較対照物の例
2-2. 比較対照物の順位付け
インタビューにおいては、まず調査対象者に比較対照物を好ましい順に並べてもらいます。そこで、それぞれについて、「なぜ、Aの方がBよりも好ましいのですか。」という質問をし、評価理由を聞き出すことで、調査対象者が評価している項目を抽出します。
2-3. 上位概念・下位概念の抽出(ラダリング)
さらに調査対象者が答えた評価項目の下位概念・上位概念を抽出し、調査対象者の評価構造を表出化させていきます。
ダイエット飲料について、調査対象者が「ダイエットコーク」よりも「アミノサプリ」をより好ましいと答え、理由として「脂肪を燃焼してくれそうだから」を挙げたとしましょう。
このとき上位概念を抽出するには、
「脂肪を燃焼してくれそうだと好ましいということでしたが、あなたにとって、脂肪を燃焼してくれることには、どんな好ましい点がありますか。」
また、下位概念を抽出するには
「脂肪を燃焼してくれるということでしたが、あなたにとって、ダイエット飲料が脂肪を燃焼するためには具体的には何がどうなっていることが必要だとお考えですか。」
というような質問を行います。このような質問を行なうことで、評価構造の階層の一部を探ることができます。(図4)
図4.評価構造の階層化
さらに他の商品の組み合わせで調査対象者に評価をしてもらい、ラダリングを繰り返すことにより、評価構造の階層をツリー状にしていきます。(図5)
犬が雑草を食べる場合、何をすべきか
図5.評価構造ツリーへのまとめあげ
詳細なラダーアップを行い、商品を比較評価した場合のアウトプットイメージは下記のようになります。(図6)
図6.完成した評価構造ツリー
3.評価グリッド法®の特徴
上記のように進められる評価グリッド法®には下記のような特徴があります。
- インタビューが一定のフローにしたがって進められるため、インタビュアーの手腕にアウトプットの質が左右される割合が少ない
- アウトプットは評価構造ツリーとしてまとめられ、結果がわかりやすく、商品の企画や戦略の立案などにそのまま応用できる
- 評価構造ツリーは回答者自身の生の言葉によって表現され、分析者や調査設計者の主観の混入を最小限に抑えることができる
4.評価グリッド法®の応用
4-1. 評価構造を理解することの意味合い
このような評価構造を分析することにより、生活者が具体的な商品のスペックから何を価値として見出しているのかが、階層として理解できます。マーケティングのコンテクストでは、下記のような示唆が得られます。
- 作り手側が気づいていなかったある商品スペックが提供する新しい価値の発見
- ある価値を提供したいと考えた場合に、どのような商品スペックを採用すべきかを理解
- 何らかの制約によってある商品スペックが実現不可能な場合、同じ価値をもたらす商品スペックを発見
- ある商品スペックの効果的な訴求ポイントの理解
人は商品そのものにお金を払うのではなく、商品がもつ何らかの価値に対してお金を払っているともいえます。さまざまなある価値と他の価値の関連性、商品スペックなどの具体的事実と認識されている価値との関連性を調べることはマーケティング活動において重要なヒントになると考えられます。
4-2. 評価グリッド法®の定量調査への応用
評価グリッド法®の結果は、定量調査を行う際にも非常に示唆に富んだものとなります。まず、ある商品の価値を評価構造ツリーに整理することは、定量調査で設問設計の選択肢を抽出する際に、漏れや重複のないものとするために強力な武器となります。定量調査では選択肢に挙げていないもの以外の結果は出てこないわけですから、評価構造ツリーをもとに定量調査の設計を行うことは調査全体をより精緻なものとする手助けとなります。
また、評価グリッド法®から得られた評価構造ツリーをもとに、グラフィカルモデリングや共分散構造分析を用いて、評価構造内の関連性の強さを定量的に算出し、因果関係のモデルを構築するということも可能です。この場合、評価構造ツリーをより客観的なデータによってサポートすることができます。
4-3. 当社の独自手法
冒頭でも触れたとおり、当社では評価グリッド法®による電話デプス調査とウェブ定量調査を組み合わせて行う「ハイブリッド評価構造分析法」を開発し提供しております。この手法では、まず電話デプス調査により評価グリッド法®を行いますが、電話では見せることができない比較対照物を、ウェブ調査画面を通じて画像、動画、音楽、コンセプト説明などを調査対象者に提示することで補います。そして、この評価グリッド法®によって得られた評価構造ツリーをもとに設問設計を行ない、定量調査で評価構造内での結びつきの強さを定量的に求めます。
また、ウェブ定量調査の中で、FA(自由回答)とプログラムによる分岐を繰り返すことによって評価グリッド法®を実行することも可能です。こうして評価グリッド法®をよりたくさんのサンプルに対して行い、生の声を抽出することができます。
お客さまの課題・ニーズを伺ってリサーチの企画・提案を行います。
お気軽にお問い合わせください。
0 コメント:
コメントを投稿